
プログラマーの講師として北の大地、北海道に降り立った。
風がまだ冷たく、頬を撫でる風は文字通り北風だった。
せっかくの休日なので、僕は余市に立ち寄ることにした。
ここ余市はスコットランドのハイランド地方に似た、冷涼な気候な土地。
本格的なスコッチウイスキー造りの理想を追い求めた聖地なのだ。
スコットランド

余市

竹鶴政孝というウィスキー作りの仙人みたいな人がいた。

彼は本場スコットランドで学んだウィスキーを日本でも再現することにしたようだ。
そうして選ばれたのが、気候も気温も似ている余市になったわけだ。
彼は1934年,大日本果汁(現在のニッカウヰスキー余市蒸溜所)を創設した人物である!
ちなみになんで大日本果汁かというと、ウィスキーは寝かせる時間が必要なのでそれまではリンゴジャムとか、果汁の製品を食いぶちにして凌いでいたからだ。
有名なニッカのおじさんは、トランプのKingをモチーフにして作られたらしい。かわいいね。
ウィスキー蒸留所を見学。
ウィスキーの作り方は、ビールに似ているらしい。
麦を発酵させて、樽にいれて熟成させる。
ウィスキーの元になっているのはこの二条大麦

こんな猫じゃらしみたいなものがあのウィスキーになるのだから面白い。ちょっとDr.Stoneを感じる。
蒸留所に行くと詳しい作り方を聞くことができた。
大麦に水を含ませて発芽させ、「麦芽(モルト)」を作る工程だ。

水を含ませて成長させると酵素の影響で甘くなるみたいだ。
そのあと乾燥させる。
この乾燥させる時に、ただ乾燥させるのではなく、泥炭(ピート)を燃やして燻すように乾燥させるのだ!そうすると、独特な「スモーキーな香り」がつく。余市のウィスキーはこの香りが強いことで有名なのである。

実際にピートで乾燥させた麦芽と普通の麦芽を出して匂いを比べたが、普通の麦芽はまるでコーンフレークとか、グラノーラバーのような匂いだった。ピートを使用した方はスモーキーな燻製のような匂いがした。
ピートも実際に触ることができたが、まるで乾燥した大きな牛のう⚪︎ちみたいだった。
匂いは全然しなかった。
砕いた麦芽とお湯を混ぜて、麦芽中の酵素の働きでデンプンを「糖」に変える作業だ。
先述したように水をいれてまぜまぜすると、甘くなる。
ここでできた甘い麦汁(ウォート)がウイスキーのベースになるようだ。
糖化させるための機械はこんなにもでっかい。
ここに近寄ると、甘い匂いがした。甘酒のような匂いだった。
この大きなもので4日熟成するとアルコール8%のもろみ酒になるらしい。
どぶろくや甘酒が好きな僕としては、飲んでみたいお酒だ。ウィスキーのどぶろく。なんだか美味しそうじゃないか。
またまたでっかいタンクに入れて今度は発酵させる。
麦汁に酵母(イースト菌)を加えてる。酵母が糖分を食べて、アルコールと炭酸ガス、そしてウイスキー特有の「香りの成分」を生み出すのだ。 この段階ではまだ度数7~9%程度の「ビールのような液体(ウォッシュ)」なのである。
発酵液を加熱して、アルコール分を濃縮する工程だ。
余市蒸溜所といえば「石炭直火蒸留」がとっても有名。
大きな炉に石炭をボンボン入れて加熱する。この炭火の強力な火力が力強く厚みのある原酒(ニューメイク)を生むのだ!
数分おきに従業員さんが真っ赤な炉に炭火を投入していく。近くにいるだけで熱気が伝わってきてじんわり汗をかいた。
透明な原酒を木樽に詰め、長い年月をかけて寝かせる。
第一貯蔵庫に入った時、古い木と土が混じったにおいがした。
僕が小さい時、長野の「縄文村」の竪穴式住居に入った時と同じ匂いだ。
ここが第一貯蔵庫。そしてこれが熟成工程を可視化したものだ。
樽の種類はオーク。
ウィスキーのあの琥珀色は、何年もかけて樽の成分が溶け出した色だったのだ。
一番右側にある若いウィスキーは無色透明で、まるで焼酎のような味がするそうだ。
しかもその熟成の過程で味のトゲが取れてまろやかになる。まるで木の出汁だ。
しかも面白いのが、この樽はいろんな種類がある。木の種類もそうだし、前に何を熟成させていたかでも味の成分が変わるのだ。
スペインの強化ワインである『シェリー酒』を熟成させていた古樽をつかえば、赤みのかかった色になり、ドライフルーツ(レーズンなど)、チョコレート、ナッツ、スパイス、ベリーといった「甘くて重厚な風味」がつくのだ。
バーボンを熟成させていれば、バニラやキャラメルのような風味になる。
樽は使い捨てではなく、樽こそが味のメイカーだったのだ。
写真を見てもらうとわかるかもしれないが、どんどん量が減っている。これは木が生きているから、熟成を待っている間に木が呼吸して空中に蒸発してしまっている。
かなり減っているのがわかるだろうか。たくさん樽に入れても最終的には半分ぐらいになってしまう。
なので「天使のわけまえ」と言われているようだ。天使がウィスキーを飲んじゃったらしい。
こうして北海道の冷涼な空気の中で、ゆっくりと熟成が進んでいくわけだ。
一つの樽でもこれだけの工程を通して歴史を作りながら琥珀色の液体ができる。
樽、熟成、麦芽、発酵、気候、どれか一つ違うだけでも味が大きく変わる。
この世の一つとして同じものなどないのである。
現地で飲み比べすることもできた!
飲み比べたのは以下の三つ

ワインと書かれているが立派なウィスキーだ。アルコール度数も22%とかなり低め(それでもお酒の中では高いほうだが・・・)香りもほのかにリンゴ酢のような香りがした。
味わいはしっかり甘くて美味しかった。これは飲みやすいりんごのシロップを入れたような甘さだ。これは甘く感じるとかじゃなくてちゃんと甘いやつ。ハイボールにして飲んだらもうこれはウィスキーなのかわからない感じになったがとても気に入った。
ストレートでも、カクテル風に混ぜても美味しい「果実」にふさわしい味だった。

スーパーニッカは名前に反して本当に飲みやすい。
ほんのりの甘く、ふわっとバニラのような風味が鼻を抜けていく。
しかもノンピートなのでスモーキー感がないが、よく言えばスッキリしていて飲みやすい。
ハイボールにしてガブガブのむならこれ一択といっていい。
やはり代表格 余市のワイン。まず、ストレートで飲んだ時、甘さが口の中に広がる。
濃厚な味わいがあってまるでカルピスの原液を飲んでいるようなパンチがある。
ロックを入れたら、このウィスキーの持っている糖が水に揺らいでいるのが見えた。
画質が〜。でも液体の下の方を見てみて欲しい。
ハイボールにしたらよりスモーキーな香りが広がって、今までに飲んだことのないような風味のハイボールになった。
しかし、ここまで香り豊かなら、ハイボールにするのが勿体無いのではないかと、僕の中の貧乏性が邪魔をする。
ロックで氷を溶かしながらチビチビのんで風味を楽しみながら飲むのが間違いのない飲み方だ!
蒸留所の中にはレストランもある。
リタキッチンの由来は、奥さんのリタさんから取られているそうだ。
日本のウイスキーの母とよばれている。
1920年、まだ「国際結婚」が非常に珍しく、周囲からの反対も激しかった時代に、政孝と共に日本へやってきた。
政孝が理想のウイスキー造りのために会社を辞め、人里離れた北海道・余市でゼロから創業した際も、家計を支え、精神的な柱となって彼を支え続けた存在だそうだ。
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リタさん。
かっこいい顔立ちをしている。
戦時中、イギリス出身であるリタは「敵国人」として厳しい監視の目にさらされることも。
でも、彼女は「私は日本に嫁いできた日本人です」という誇りを持ち続け、漬物や梅干しを漬けるなど、日本の生活に深く馴染もうと努めたようだ。本当にかっこいいね。
レストランで、ニシンのパスタとサラダセットを注文。
北海道産の魚介は美味しい。しっかり炒められて甘くなった玉ねぎが、さっぱりとした味付けにダイレクトに美味しさを伝える。そのあと白身の風味と潮を感じさせる味が広がる。
北海道の魚介はパスタと合わせても相性抜群だ!
実はそこでも、飲み比べセットがあったので注文してみた。
余市のブレンデットウィスキーとPURE MALT RED、PURE MALT BLACKだ。
ブレンデットウィスキーはバランスが取れた味。第一印象は甘い!
水で薄めてもとっても味自体が甘い。
これは食後デザートに合いそうだ。
燻製みたいなスモークの風味がふわっと広がった。
pureメルトワインははのみやすい
悪くいえば水に近い。
だが食事と一緒に合わせるならこれ一択だ。
口当たり軽くてフルーティな感じだ。スモーク感はなくフレッシュ。
pureモルトブラック
これは非常に味が強い。
あま!濃!!って感じ。
力強い味わいでスモーク感もすごい!
飲み込む前から喉の手前でスモークされてるみたいだ!
少し水で薄めてもなお後味が残る。
これは最高に楽しめる一品
だが食事とは微妙に合わないかもしれない。なぜならストレートで飲んだ後パスタを食べたが、何も味がわからなくなるからだ。
それほど強力で豊かな味わい。後にも響くただハイボールとかにしたらめっちゃうまいんだろうな。
と思って水を足した。
うーん。薄めたら不味くなってしまった。
スモーク水。これがふさわしい呼び名だろう。
やっぱりこいものはロックで飲みに限るだろう。
最後に、お見上げコーナに寄ってAPPLE WINEを購入した。これがいちばんのお気に入りだ。
それと、小瓶の余市も購入した。普段から飲酒はしないので、人が来た時楽しむために小瓶で十分なはずだ。
ウィスキーは本当に奥が深い。ただアルコールが強くて飲めたらちょっとかっこいい。そんなお酒だと思っていた。
でも、その人の思いや素材、使う技法や工程で同じ味は二度と出せない。しかも熟成にはとてもとても時間がかかる。長い年月をかけて樽の成分が溶け出すのをただただ待つしかない。
ウィスキーの味や色には歴史が詰まっている。
僕たちは、お酒を飲んでいるのではなく、そのお酒の歴史や費やした時間を味わっているのだ・・・・!

建物を出ると余市の風が強く吹いていた。ほんのりと潮の匂いが鼻腔をくすぐる。
蒸留所を出る時、僕はほろ酔い気分。ふと下を見ると、
小さいウィスキーが落ちている!!と思ったら目薬だった。
不思議だね。